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気をつけたい水質項目について

水質項目別でみる、注意したい生き物

ここでは、いろいろな水質項目についてまとめてみたいと思います。

まず、目次として、水質項目別に、飼育対象となる生き物のジャンルをあげました。

 

興味のある生き物で、注意してみるべき水質項目は何か?

ここで確認してみてください。

以下に続くトピックスで、各水質項目について詳しく書きます。

 

pH=水素イオン濃度指数

ソフトコーラル

ハードコーラル(LPS、SPS)

KH=炭酸塩硬度

ハードコーラル(LPS、SPS)

ソフトコーラル

ヨウ素

エビソフトコーラル

ハードコーラル

カルシウム

ストロンチウム

ハードコーラルエビ
微量元素

エビソフトコーラル

ハードコーラル

マグネシウム ソフトコーラルハードコーラル
カリウム ソフトコーラル

 注)ソフトコーラル にはイソギンチャク、海藻を含みます。

 

各成分を個別に述べると非常にややこしいですが、

ほぼ全ての試験レイアウト水槽で、

頻繁に、カリブシー・パープルアップと海養水を添加し、

サンゴには、カリブシー・アラガミルクや、カリブシー・バッファープラスを併用しつつ、

定期的に換水を行えば、

これらの成分の欠乏は、1年以上にわたり発生しなかったです!!

 

   

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pH(ピーエイチ)=水素イオン濃度指数

pHは「ピーエイチ」と読み、水がどれだけ酸性やアルカリ性に近い性質なのかを数値で示すものです。

飼育水である海水のpHは、7.8〜8.3の間に保つことが必要です。

この適正値を保つために一番簡単な方法は、

アラゴナイト系の底砂を敷くことです。

実際、私達の試験水槽では、pH測定したことはほとんどありません。

魚の量が極端に多く、換水を長期間行っていない場合などは、pH低下に注意が必要ですね。

 

 

「あ」

「うん」

 

 

 

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KH(ケーエイチ)=炭酸塩硬度

KHは「ケーエイチ」と読み、炭酸塩硬度のことを言います。

炭酸塩硬度とは、

海水中の炭酸イオン(CO32)、重炭酸イオン(HCO3)と、

それと対になるカルシウムやマグネシウムの塩濃度 を指します。

一般的なKHテスターの1°= 炭酸カルシウム換算で18mg/l となります。

 

天然海水のKHは6〜7°で各海域ほぼ共通です。

ハードコーラルを飼育するときは、KHが低下しても、6°を下回らないように、

添加剤やカルシウムリアクターを使って、ちょっと高め(7〜8°)に保つのが理想的です。

 

海水中のKHの役割としては、

まず、海水のpHを 8前後に保つことです。

また、カルシウムやストロンチウムと組み合わされて、

ハードコーラルや、生物の骨格である炭酸カルシウムの原料になりますし、

褐虫藻や海藻の光合成の炭素源にもなります

KHはとても重要な成分なのです。

 

特に、ハードコーラルを高密度飼育する場合は、

彼らの消費によって、どんどんKHが下がっていって

そのままでは、サンゴの開きが悪くなり、成長も止まり、種類に

よっては死んでしまいます。

 

KH成分は、アラゴナイト底砂からある程度は供給されますが、

小型のハードコーラル水槽では、枯渇しがちです。

後述にある方法で添加する必要があります。

 

KHの測定は、市販のテストキットが入手しやすく、測定も楽です。

 

 

<KHの補給・添加方法>

@KH添加剤

添加剤には、以下の2種類があります。

 液体(例:カリブシー・アラガミルクなど)

 粉状(例:コーラルライフ・カーボネートハードネス)

概して、液体がマイルド、粉状のほうが強力で、入れすぎには注意が必要です。

 

魚やソフトコーラルには液体が使いやすいです。

 

KH添加剤を使用する場合、説明書をよく読み、1回の使用量を守りましょう。

一度に入れすぎないよう、くれぐれも注意しましょう。

急激にKHを2°以上変化させますと、サンゴが開かなくなるなどの副作用が生じます。

 

KH値を上げるときに、添加剤タイプは使いやすいのですが、

下記を心がけましょう。

 ・ナトリウムを含んでいるので、イオンバランスは崩れていきます。

  そのため、定期的(1〜3ヶ月に1回)に多めの換水を行い、イオンバランスを補正する必要があります。

 ・プロテインスキマーなどによる炭酸ガス飛散や、

  カルシウム&マグネシウム、ストロンチウムと炭酸成分の反応による沈殿で、すぐKH値が下がってしまう

ですから、こまめな添加が必要になります。

 

A底砂からの供給

アラゴナイト底砂からも、

カルシウム、ストロンチウム、微量元素と同時にKH成分を供給できます。 

しかし、海道システムのような小型水槽で

ハードコーラルをぎっしりと飼育するには、

底砂からの供給だけでは、サンゴのKH消費に追いつかない場合が多いので、

添加剤との併用が必要になります。

じゃあ添加剤を使うなら、底砂は要らないじゃないか!という意見もありましょうが、私達の

飼育試験では、やはり底砂があったほうが、サンゴやイソギンチャクの調子は安定しました。

 

 

B換水

KHも補給できますし、

同時にカルシウム、ストロンチウム、微量元素、ヨウ素といった

人工海水に含まれる成分も補給でき、

かつ、イオンバランスも整えることができます。

特に、大型水槽では、換水だけでハードコーラルのミドリイシまで飼育している愛好家もおられます。

 

しかし、問題はその労力と手間です。 

毎週換水できればよいのですが、できればもっと間隔を伸ばしたいところですね。

 

そうなると、大型水槽ではない、小型の海道システムでハードコーラルを高密度飼育するには

添加剤はどうしても必要と考えます。

 

Cカルシウムリアクター

アラゴナイト(カルシウムメディア)を炭酸ガスで溶かし、水槽に供給するシステムです。

これでミドリイシ飼育が断然簡単になったといわれています。

KH、カルシウム、ストロンチウム、微量元素、カリウムなどを同時補給できます。

一旦セットすれば、他の添加剤で必要となるのは、ヨウ素ぐらいになります。

 

問題は、

高価、調整が難しい、炭酸ガスの取り扱いが面倒、

KHが高すぎても生物に副作用がある点

小型水槽では調整が難しい…ですね。

 

 

 

 

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ヨウ素

ヨウ素は、

海水中には、0.05mg/l程度含まれていて、

動物の甲状腺ホルモンの働きに関与している成分です。

また、海藻やサンゴの体内には大量に蓄えられているので、

これらの成長にも必要だと思います。

 

ヨウ素が欠乏すると、

 

 食欲不振、退色(種類による)

 サンゴ、特にソフトコーラルや海藻、LPS系のハードコーラル

 開きが悪くなる、退色、死亡

へぇー

といった症状が出てきます。

また、エビの脱皮不全も、

ヨウ素欠乏が関与しているといわれます。

 

ヨウ素(ヨウ素イオンも)は、反応性に富み、

有機物と結合して、

活性炭やプロテインスキンマーで

除去されます。

このため、頻繁な添加が必要になるのです。

 

飼育のやさしい魚だけを飼うのでしたら、

ヨウ素添加は重要ではないのですが、

サンゴ飼育主体で、換水期間を長く取る場合、ヨウ素添加は必要だと思います。

 

<ヨウ素の添加方法>

ヨウ素は、

液体添加剤

 カリブシー・パープルアップ 

 コーラルライフ・アイオディンサプリメント

などが各種市販されています。

ただし、ヨウ素の過剰添加は、魚やサンゴに対する副作用…

(魚の肌荒れ、死亡、サンゴが閉じたり、死亡することもあります)

…が大きいので、

添加剤の入れすぎには注意しましょう。

 

私達は、現時点では、

カリブシー・パープルアップを強くおすすめいたします。

ヨウ素に加え、

カルシウム、ストロンチウム、微量元素、カリウムなども入っているので、

これにKH添加剤とマグネシウム系の添加剤を併用すれば、

添加剤の数を少なく抑えることができるからです。

 

 

 

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カルシウム・ストロンチウム

海水中にカルシウムは、400mg/l前後、

ストロンチウムは 8mg/l程度含まれています。

どちらも生物にとっては、とても大切で、

骨格の原料や、各種生体反応で重要な役割を担っています。

サンゴ骨格中のカルシウム:ストロンチウム比率は、

概して、海水中と同じ、50:1の割合です。

 

ストロンチウム不足は、サンゴの共肉剥がれといった症状を引き起こします。

小型のサンゴ水槽で、換水を頻繁に行わない場合は、

カルシウム、ストロンチウム添加は必要だと思います。

これらの添加・補給方法には、以下の方法があります。

 

 

<カルシウム、ストロンチウムの補給・添加方法>

@カルシウム、ストロンチウム添加剤

一番手軽な方法です。

液体のものが各社から販売されていますが、

当社取り扱い商品では、

 カリブシー・パープルアップ

 コーラルライフ・カルシウムサプリメント

 コーラルライフ・ストロンチウムサプリメント

上記3点がございます。

 

きちんと効果を得るには、KH添加剤との併用が必要です。

カルシウム、ストロンチウム添加剤 ともに、塩化物が主体だと思いますので、

イオンバランス補正のための定期的な換水を行いましょう。

 

Aアラゴナイト底砂からの補給

カルシウム、ストロンチウムともに、アラゴナイト底砂から溶出してきます。

しかし、石サンゴを飼育するには、不足することが考えられますので、

他の添加方法と併用すると良いでしょう。

 

B換水

週一回の換水ができるなら、

カルシウム、ストロンチウムに関しては、換水で補える可能性が高いです。

ただし、ハードコーラル主体の小型水槽では、

それでもKHが不足する可能性が高いので、

添加剤の併用は必要だと思います。

 

Cカルシウムリアクター

KHの項目欄をご参照ください。

 

Dカルクワッサー

飽和水酸化カルシウム溶液を水槽に添加する方法です。

デメリットが大きめなので、現在は使用例もあまり聞かなくなってきました。

メリット

 ・カルシウムの補給と同時に、リンを除去できる

 ・塩素イオンやナトリウムイオンを持ち込まないので、イオンバランスの崩れが起きない

デメリット

 ・マグネシウムの沈殿

 ・カルシウムに対して一定の比率で必要な、ストロンチウムの補給はできない

 ・水酸化カルシウム=強アルカリ の危険性

 

 

 

 

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微量元素

微量元素とは、

えびさん、何してるの?

海水中に

極わずかにしか含まれていない成分の総称です。

鉄、モリブデン、コバルト、マンガン、亜鉛、

セレン、バナジウム、銅…などがあります。

1L の海水中に、1μgほどしか

海水中に存在しない成分もありますが、

生物には必須の元素も多いのです。

 

多くのソフトコーラル、ハードコーラル、海藻は、

水中からこれらの微量元素を吸収して生きています。

水槽内では、メジャーなカルシウムなどよりも

微量元素欠乏が原因で

生き物の調子が崩れる場合が多い…

と感じているほどです。

重い元素ほど有機物と結びつきやすく、

プロテインスキマーや、活性炭によって除去されるので、

一層欠乏しやすい と、考えております。

 

ところで、ヤッコやハギの体表に穴が開く病気があります。

これは、経験上、スキマーや、活性炭を使っており、

かつ、微量元素をはじめとした添加剤を入れていない、換水が少ない、

つまり、サンゴが飼育できない環境で発生しやすいです。

 

逆に、サンゴがちゃんと飼えている水槽では、この病気が出たことはありません。

これらの状況から、私たちは、

微量元素欠乏がこの病気の原因ではないか?

と推測しております。

 

さて、微量元素は、

銅のように、過剰になると悪影響が出る場合がありますので、

添加剤の入れすぎには注意が必要ですね。

微量元素の添加方法は、下記があります。

 

<微量元素の補給・添加方法>

@微量元素添加剤

私達の取扱商品では、

 カリブシー・パープルアップ

 コーラルライフ・マリントレースエレメント

 海養水

があります。

現在試験中の海道システムのレイアウト水槽では、

天然原料から作られているパープルアップと海養水を併用しています。

微量元素は、具体的に何が不足しているのか?特定することは困難ですから、

複数の添加剤を併用して、特定の元素欠乏が発生しないようにと

考えております。

 

イオンバランスは、これまで説明したとおり、

塩素イオンやナトリウムイオンにより崩れていきますので、

定期的な換水は行ってください。

 

 

 

Aアラゴナイト底砂からの補給

アラゴナイト底砂からも微量元素は溶出していきます。

特に、微生物が砂表面に繁殖し、砂表面が酸性化すれば、

この作用は一層強くなるでしょう。

しかし、カルシウムリアクターを使用しない場合は、

サンゴやスキマーが消費する微量元素の供給が

追いつかない場合も考えられますので、

海道システムでは、

微量要素添加剤とアラゴナイト底砂を併用した方が良いと思います。

 

B換水

これも、他の成分の場合と同様です。

毎週換水できるのなら、アラゴナイト底砂を併用していれば、

ほとんどのサンゴは飼育可能だと思います。

しかし、毎週の換水はさすがに面倒ですから、

添加剤を使用して、管理の手間を減らす方法がリーズナブルだと思います。

 

Cカルシウムリアクター

大型水槽では、カルシウムリアクターを設置することで、

カルシウムメディアに由来する微量元素を補給できます。

詳しくは、KHの項目欄をご覧下さい。

 

 

 

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マグネシウム

マグネシウムは、海水中に 1300mg/l と、結構な量が含まれています。

サンゴや魚に必須の成分であることは間違いないのですが、

カルシウムとマグネシウムは、炭酸塩になりやすい性質があるので、

マグネシウムが不足している水質では、

カルシウムが炭酸塩として沈殿し、ロスが多くなると考えられます。

このため、私達も定期的にマグネシウムを添加しています。

添加には、下記の方法があります。

 

<マグネシウムの補給・添加方法>

@マグネシウム添加剤

私達の商品では、

 海養水

 カリブシー・パープルアップ

がマグネシウム添加に便利です。

この添加剤も、塩素イオンとナトリウムイオンを含みますので、

イオンバランスは変化します。

定期的な換水を忘れず行いましょう。

 

Aカルシウムリアクターにマグネシウムメディアを併用

炭酸マグネシウムを主成分としたマグネシウムメディアをアラゴナイトに混合して、

それをカルシウムリアクター内に入れて

マグネシウムを補うことができます。

 

この方法においては、

メリット

 ・塩素イオンを持ち込むことがない

デメリット

 ・高価

 ・調整が面倒

 ・高KH値

と、デメリットはカルシウムリアクターのデメリットそのままです。

まぁ小型水槽で、マグネシウムリアクターまで使用する必要は、ないです。

 

 

 

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カリウム

え?

カリウムは、海水中に、380〜400mg/l と、

カルシウムと同じくらい存在する重要な成分です。

 

カリウムは、

細胞の浸透圧調整の重要な役割を担っており、

これが不足すると

サンゴの開きが悪くなったり

魚の食欲が落ちます

また、プロテインスキマーで

除去されやすい成分でもあります。

私達の試験水槽では、

3ヶ月間換水を行わないと、

280mg/l程度までカリウム濃度が減ったこともありました。

 

カリウムの添加方法には下記があります。

 

 <カリウムの補給・添加方法>

@定期的な換水

2週間〜1ヶ月に1回の換水を行っていれば、カリウムも自然に補給されます。

 

A添加剤

カリブシー・パープルアップ と 海養水を添加することで、

カリウムを添加することができますが、

長期的には、イオンバランスが崩れますので、定期的な換水は必要ですね。

 

 

 

   

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